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イニュニック

イニュニック 生命―アラスカの原野を旅する (新潮文庫)イニュニック 生命―アラスカの原野を旅する (新潮文庫)
(1998/06)
星野 道夫

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 星野さんにとってアラスカは憧れの地であると同時に、僕はここで生きていくのだと決意させた所だったと思う。そうでないと、こんなふうに自然について表現することはできない。

 最近の日本では、野生の熊が売店までおりてきて射殺された。道路脇にキタキツネを見つけて車を減速すると、むこうから近寄ってくる。私はそんな状況を見たり聞いたりしたとき違和感が強かったのだが、この本を読んでその違和感のもとが何なのかを見つけた。

 星野さんはアラスカにいる自分と野生動物のあいだに「はるかな星のような距離」を感じ、それを「闇が広がっている」ととらえた。しかし今に生きているという視点を通し、「すべてのものに、平等に、同じ時間が流れている」ことに初めて気づいたと言う。
 先の話で私が違和感を持ったのは、この感覚から逸脱した現実を目にしたからではないかと思う。売店の熊は「同じ時間が流れている」対象とされておらず、あんなに自然と人間が密接していながら共存できていない。キタキツネの場合は、人間とのあいだにもはや「闇」は存在しておらず、両者のバランスが崩れているからではないかと、私は考える。

 本書では、星野さん同様にアラスカに魅せられて住み着いた人々がたびたび登場する。「闇」、「同じ時間」を尊重して生きる彼らの生活もまた、私に多くのことを教えてくれた。本書を最後まで読んでみて、これは特にアラスカだけ、野生動物だけの話ではなくて命そのもののドキュメンタリーなのだなと気づく。『イニュニック[生命]』とタイトルにあるように。
 

今、目の前に横たわるカリブーの骨は、ゆっくりと大地に帰り、また新たな旅が始まろうとしているではないか。自然が、いつの日か私たちの想いに振り向いてくれるとは、そのことなのではないか。自然はその時になって、そしてたった一度だけ、私たちを優しく抱擁してくれるのではないだろうか。



 星野さんは、ロシアで取材中に熊に襲われて急遽された。私に、この本を与えてくださったことに大きな感謝をしたい。




注)本文中の斜字体部分はすべて本書から引用した。

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私について

チェリ

Author:チェリ
最後まで読まない(読めなかった)本も多いですが、基本的に本があれば幸せです。いつか図書館に住んでみたい。地震が起きたら本の重圧で動けないでしょう・・・そんな部屋に住んでいます。積読ばんざい! 本屋に行くと嬉しくて腹痛になりやすい人です^^;

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