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本が捕り憑く

ラテンアメリカ/集英社ギャラリー「世界の文学」〈19〉ラテンアメリカ/集英社ギャラリー「世界の文学」〈19〉
(1990/02)
篠田 一士、

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今回読んだのは、この分厚い本のなかの、砂の本 (現代の世界文学) です。


池澤夏樹の本を読んでいて、彼が篠田一士という人に影響を受けたことを知りました。篠田さんの名前を頭の片隅に置いていて、ある日、本屋で見つけてしまった・・・『砂の本』。ひっそりと棚に収められていたその本は、黒色ベースに(確か)山本容子さんの版画の表紙でした。「ボルヘス」の名のそばに記されていた「篠田一士」という訳者名。おぉ、こんなにすぐに出会えるなんて、と私は運命的なものを勝手に感じて、この『砂の本』を読むぞと決めました。

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『砂の本』はボルヘスの13の短編から成る。全タイトルは次のとおり。「他者」-「ウルリーケ」-「会議」-「人智の思い及ばぬこと(『ハムレット』一幕五場)」-「三十派」-「恵みの夜」-「鏡と仮面」-「ウンドル」-「疲れた男のユートピア」-「贈賄」-「アベリーノ・アレドンド」-「円盤」-「砂の本」。

幻想的な「他者」と「ウルリーケ」はとても読みやすい。(記憶が歪んでいるかもしれないが)アントニオ・タブッキを思い起こさせた(著者はカフカをめざした、と言っている)。この二編は、相手がいったい現実のものなのか分からなくさせる。「砂のように時間が流れた。(「ウルリーケ」)」 手にすくってみた砂が、指の間からさらさらと抜け落ちていくようなイメージ、不快ではない眩暈が読者を襲うことだろう。

「会議」は一番長い短編で、私にとっては最も難解であったがために、読破するのに多少辛抱するはめになった。読解力がないのか、今あまり思い出せないでいる。この他では「贈賄」にも通じるのだが、登場人物が学識者だったり衒学的な人だったものだから、私の脳ミソが拒否反応を起こしたのかもしれない。

「恵みの夜」、「疲れた男のユートピア」、「アベリーノ・アレドンド」、「円盤」の四編は私のお気に入りとなった。「アベリーノ・アレドンド」は、最後まで読んでやっと中軸が分かる手法で書かれていて、「円盤」は、読んでいると何故か、らせん状の画が頭に浮かんでくる。ボルヘスの短編は立体的だなぁと思わせた。

そしてなんと言っても「砂の本」。こんな短編を私はかつて読んだことがない。たった数ページの中に広がる無限の、「はじめもなければ終りもない」世界。「彼」はその後、あの本をまた手にとってしまっただろうか。

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この『砂の本』には「後書き」があるけれど、これを最初に読んではダメです!(笑)
この後書きが記された1975年、ボルヘスはほとんど目が見えない状態で、口述していたそうです。

私はこの本に出会い、大切に読みました。読み終えた今思うのは、また読んでしまうだろうということです。昨日古書フェアで見かけた『砂の本』がどうも気になって仕方ない・・・。あの本を買うかどうかは別として、少なくとも、本書最後の短編「砂の本」だけは、書き写しておこうかなと思っています。
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私について

チェリ

Author:チェリ
最後まで読まない(読めなかった)本も多いですが、基本的に本があれば幸せです。いつか図書館に住んでみたい。地震が起きたら本の重圧で動けないでしょう・・・そんな部屋に住んでいます。積読ばんざい! 本屋に行くと嬉しくて腹痛になりやすい人です^^;

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