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火車

火車 (新潮文庫)火車 (新潮文庫)
(1998/01)
宮部 みゆき

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大学時代の私には稼ぎがないからクレジットカードは作れなかった。でも知人友人のなかに所持者が一人は居たんじゃないかな。自己破産した大学生ってのも当時けっこう居たんだろうな。

初めてアメリカに行った1996年、2000円程度でもクレジットカードを普通に使う社会に驚いた。その頃の日本は、まだそんなにクレジットに馴染んでなかったように思う。手持ちの現金がほとんど無くても、カードが1枚あれば物を買えてしまう仕組み。まるで自分が金持ちになったような錯覚を与えかねない、魔法のようなカード。これさえあれば幸せだって買えそうな気がするのは分からないでもない。

本書では、クレジットカードの魔法から抜け出せずサラ金地獄をみる人たちが描写されている。世間の闇でひっそり生きるしかない彼女たちが選んだ道は? 他人として生きることもできない哀しさ。つかもうとした幸せ。悪いのは彼女たちなのか。社会はどうなのか。ストーリーの展開とともに、自分の生き方や選択についても考えさせられたのだった。

ところで私にとっての宮部みゆきはこの本が初めて。宮部作品好き!という知り合いが多いのだけど、わかる。面白いもの。

『火車』を読み終え、ブックカバーをはずして表紙の絵と対面。校庭を見つめるあの彼女の姿がジュッと、心に焼きついたのだった。


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ファミリーポートレイト

ファミリーポートレイトファミリーポートレイト
(2008/11/21)
桜庭 一樹

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初めて読んだ、桜庭一樹さんの本。

第一部では5歳のコマコが13歳になるまでのストーリーが展開される。多くのレビュアーと同様、少し読むのがつらいと言うか長いなぁと思われた。ここでは、わが子をかわいがっているのに抓ってしまう母・マコと、そんな母親から離れまいとするコマコの人生旅が描かれている。グロテスクでさえある状況を淡々とコマコが語っていて、幼いながらも自分を客観視して生きる姿が切なかった。まだこんなに小さいのに、人格が解離していくんじゃないかと気をもみながら読み進めた。

第二部。14歳になったコマコは母マコから剥がれていく。コマコを取り巻く人間関係や環境も変化するが、それぞれの場面が「ファミリーポートレイト」を意識させる。コマコは母と撮ったファミリーポートレイトを胸に抱き、本や活字と生きていく。母のために自分の存在を消そうとしていたコマコは、ここにはもう居ない。作品の中で、自分を鏡にうつす場面が何度か出てくるが、コマコが自分の存在を確認するために見ていたのだろう。

エンディングは第一部の静かな重さと比べるとかなり軽い印象だけど、あの終わり方じゃないと私たちは読み終えることができないんじゃないかと思った。



自分をしっかり生きるために

断る力 (文春新書)断る力 (文春新書)
(2009/02/19)
勝間 和代

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売れている人のハウツー本はあまり読みたくない。実は勝間さんもその一人だったのです。私は天の邪鬼なところがあるので・・・。

ある日、テレビの対談番組で彼女を見かけて以来、彼女への印象が変わっていきました。この人が伝えたいことって何だろう。一度著書を読んでみることにしました。




良い意味でも悪い意味でも、日本人には広く同調を求めるクセがあるように思います。どうして私の考えを言っちゃいけないの?と小学生のときから不思議でした。大人になった今、残念ながらその疑問にきちんと答えることはできません。というのも、自分もすっかり同調の空気のなかにいるからです。「なんとなく、特に理由はないけれど」 このセリフを聞いたら、当時の私は憤慨するかもしれないですね。

最近ではもっとすごいことになっていますね。小学校の運動会で徒競争をうやらない、なぜなら優劣を決めることになるからって。ん?そんなこと、一々気にしてなかったですけどね。なんで今さらという気もします。脚の速い子は勉強がちょっと苦手だったり、運動は得意じゃないけど作文が上手かったり。みんな得意・不得意があって、それを自分なりに納得していました。この私もそうです。すべてにおいて得意、なんて人はほぼ皆無ではないでしょうか。脚が遅いことが多少のコンプレックスであったとしても、瞬発力があるから球技に力をそそいだり、実はマラソンに強い自分を発見したり。子ども時代は、そんな自分探しをしながら成長していくものです。

話を戻します。同調が善とされるのは、「目立って敵視されるよりは」「任せたほうらラク」「なんも自分で大変な状況をつくらなくても」という考えが根底にあるのではないでしょうか。それは確かに無難な生き方ですが、お互いに何の利益も生まない関係にあるとも言えそうです。最終的に、自分のためにはなっていない。

私に与えられた時間は有限です。だったらもっと積極的に暮したい。自分の軸をもとに、しっかり生きていきたい。この『断る力』には、そう思う人へのヒントが提示されています。読んで、ピンときたところがあったので、そこから試してみようと考えています。

ゼニガタアザラシ

『ゼニガタアザラシ』  編集・発行 えりもシールクラブ
 

えりも岬の「風の館」で売られていた本で、田中豊美氏のイラストとともに、ゼニガタアザラシの生態を紹介しています。ゼニガタアザラシは、北海道東部の沿岸から千島、アリューシャン列島にかけて生息している哺乳動物です。えりも岬から肉眼では分かりませんが、風の館に備え付けてある単眼鏡を使えば、アザラシが岩の上で寝そべっている姿を見ることができます。もちろん野生です。

本というより冊子(ガイドブック)ですが、イラストが緻密ですばらしい。えりも岬から見える岩がそのまま絵になっていて、単眼鏡をのぞいたあのときの感動がいつでも蘇ります。

えりも岬に行かれる方は、ぜひ風の館にも立ち寄って、ゼニガタアザラシを探してみてください。そして風景だけを愛でるのではなく、生き物と人との共存について考えてみてほしい。本書はその薄さのわりに価格が高いと思うかもしれませんが、収益の一部がゼニガタアザラシの調査や研究に使われるそうです。

北海道には有名な動物園以外にもたくさん見どころがありますね!



揺れるバランス

小さき者へ (新潮文庫)小さき者へ (新潮文庫)
(2006/06)
重松 清

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 著者のあとがきにこう書いてある。「下り坂はたいがい転げ落ちるものだし、ひとが生きることは長い長い坂を上りつづけるようなものだとも言われる」「本書に収めた六編のお話は、どれも、急な坂道の途中にたたずむひとたちを主人公にしている」。



 私はこれまで重松さんの本を読んだことがなかった。それがたまたま、新幹線車中で読んだ『yom yom vol.10』で重松さんの作品に出会った。ぜひほかの話を読んでみたいと思い、この本を選んでみた。

 6編の中では、私は「海まで」と「団旗はためくもとに」が好き。

 「海まで」のカズキは、なんだか私に似ている(気がする)。弟と比べるられるのは好きじゃないけど、表向きは"どうでもいいんだ、そんなこと"。両親家族が自分に接するときの態度や気づかいが、うれしいのにそれを素直に受け取れないし、弟のように表現するのは照れくさい。もう、この子ったら!と言われれば言われるほど、自分の気持ちとは逆の態度をとってしまう。この短編を読んでいると、私の記憶がチクチク痛くなる・・・けど嫌じゃない。私は始終カズキの側に立っていて、それは違うのに・・・とか、そんなこと思ってもないよ、とか呟いていた。
 終わりのほうで、カズキが膝をさする場面は泣きそうになった! そうこれこれ! 重松さんの本はこれが困る外で読めない(泣きそうになるから)^^;

 「団旗はためくもとに」も同じような親に対するじれったさとか照れとか、とにかく素直になれない自分(当時の私)が同居してしまう。うちの父は押忍!とか言わなかったけど(笑)、まぁ同じような"あたし"の応援団であったわけだ。あれはなんとなく照れくさいし、鬱陶しいと思ったりもしながら実は嬉しく思っていた。今なら、あのとき応援してくれてありがとうね!お父さん!!と言えるだろうに、あのときは言えないんだなこれが。スミマセン、こんな娘で・・・でもありがとう、です。


 こうしてみると、私も大なり小なり、坂を上ったり下りたりしてきた。「振り向かない」のも人生を歩む一つのやり方ではあるけれど、たまに丘の上から振り返ってみるのも悪くない。重松さんの本は、そんな時間を与えてくれると思う。また他の作品も読んでみよう。


 
私について

チェリ

Author:チェリ
最後まで読まない(読めなかった)本も多いですが、基本的に本があれば幸せです。いつか図書館に住んでみたい。地震が起きたら本の重圧で動けないでしょう・・・そんな部屋に住んでいます。積読ばんざい! 本屋に行くと嬉しくて腹痛になりやすい人です^^;

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